算数の授業づくり|「なぜ?」を仕掛ける、つまずきを前提にした設計法
授業づくり
教員になって最初の年、算数の授業がいちばん手強い相手でした。教科書があって、指導書もあって、その通りに説明しているのに、なぜか子どもの反応が薄い。「分かった人?」と聞くと数人が手を挙げるけれど、いざ問題を解かせるとみんな固まってしまう。説明の内容は間違っていないはずなのに、どうして響かないのか。長いあいだ、その理由が分かりませんでした。 非教育学部出身の私にとって、算数の指導法は完全に手探りでした。でも、事務職時代にさんざんやってきた「会議やプレゼンの設計」の考え方を持ち込...PDCAで学級経営を回す|「計画倒れ」にしない、忙しい教員のための改善サイクル
メンタル・働き方
教員になって最初の4月、私は気合を入れて「学級経営案」を作りました。どんなクラスにしたいか、そのために何をするか。何枚もの紙にびっしり書き込んで、我ながら立派な計画だと満足していました。ところが5月の連休が明けたころ、ふと気づいたのです。あの計画、机の奥で眠ったまま、一度も見返していない、と。 計画を立てること自体は得意でした。事務職として十数年働くなかで、企画書や計画書は何十本も作ってきましたから。でも、教室という現場では、その計画がまるで機能しなかった。なぜだろうと考えて...フロー理論で考える、子どもが夢中になる授業の条件|「集中しなさい」を言わなくていい設計
心理学×教育
教室で「集中しなさい」と言ったことのない先生は、たぶんいません。私も新人のころ、一日に何度この言葉を口にしたか分かりません。でも、あるとき気づいたのです。「集中しなさい」と言った直後は数十秒だけ静かになるけれど、すぐにまた元通りになる。声かけの効果は、驚くほど一瞬でした。 一方で、子どもが誰に言われるでもなく、時間を忘れて何かに没頭している場面もありました。図工の作品づくり、熱中しているときの読書、休み時間のごっこ遊び。あの「勝手に集中している状態」を、授業でも起こせないだ...行動経済学で考える子どもの動機づけ|ご褒美・宿題・忘れ物、教室で使える「人が動く仕組み」
心理学×教育
教員になって最初のころ、私はずっと迷っていたことがあります。それは「ご褒美で子どもを釣っていいのか」という問題です。がんばったらシールを貼る、宿題を出したらポイントがたまる——こういう仕組みは効果があるように見える一方で、「ご褒美がないと動かない子になるのでは」という不安もつきまといました。 以前、自己決定理論で考える子どものやる気の記事で、「外発的な動機づけは内発的なやる気への入り口として使える」と書きました。ただ、あのときは「では、そのご褒美をどう設計すればいいのか」とい...宿題の設計と運用|「毎日同じ量」をやめる、子どもの実態に合わせた仕組みのつくり方
授業づくり
教員になって最初の数か月、私は毎晩のように宿題の丸つけに追われていました。40人分のドリルを1枚ずつ見て、赤ペンで丸をつけて、コメントを書いて——。気づけば退勤時間はとうに過ぎ、宿題を見ること自体が苦痛になっていました。そしてある日、ふと思ったのです。「自分は宿題を出すことばかり考えて、その後どう回すかを何も設計していなかった」と。 この記事では、日々の宿題を無理なく回すための「運用の型」をまとめました。なお、夏休みのような長期休みの宿題設計(自由研究や読書感想文の進め方など)は...夏休みの生活指導と宿題の出し方|「禁止事項の列挙」から抜け出す、子どもが動く夏の設計
学級経営
初めて迎えた夏休み前のホームルームで、私は配られたプリントをもとに、「してはいけないこと」をひたすら読み上げていました。川で遊ばない、知らない人についていかない、ゲームをやりすぎない——。リストは20項目近くあって、読み終わるころには15分が経っていました。そして気づいたのです。子どもたちの顔が、どんどん遠くなっていることに。 何かが違う。そう感じたものの、そのときは何が違うのか分かりませんでした。事務職として10年以上、いくつものプロジェクトに関わってきた経験を振り返って、ようや...個人面談の進め方|「何を話せばいいか」がなくなる、準備・当日・記録の全手順
学級経営
初めての個人面談の前日、私は何を話せばいいのか、ほとんど何も用意できていませんでした。指導要録を眺めても、出てくるのは「まじめです」「友達と仲良くしています」といった、誰にでも当てはまる言葉ばかり。これでは10分も持たない、と冷や汗が出たのを今でも覚えています。 この記事では、私自身が試行錯誤しながらたどり着いた「個人面談の型」を、準備・当日・記録の3段階に分けてまとめました。事務職として10年以上働いてきた経験のなかで、私は何度も社内の面談やヒアリングの場に立ち会ってきました...行動経済学で変わる学級経営|子どもが「動きたくなる」授業と仕組みの設計図
心理学×教育
事務職として働いていた頃、「なぜこの商品は売れて、あの商品は売れないのか」を考える場面が何度もありました。中身はほとんど同じなのに、値段の見せ方、言葉の選び方、置く場所を変えるだけで、人の行動はまるで変わります。その裏側にあったのが「行動経済学」という考え方でした。 教員になって、私はあることに気づきました。商品を前にした大人も、授業を前にした子どもも、判断の「クセ」は驚くほど同じなのです。「頑張りなさい」「やる気を出して」と言い続けても動かなかった子が、環境や言葉をほんの...同僚・先輩とのつき合い方|職員室で「信頼される新人」になるために、最初の1年でやっておくこと
メンタル・働き方
教師になって着任してすぐ、私はあることに気づきました。「もしかすると、子どもよりも職員室の方が難しいかもしれない」と。 事務職として10年以上、上司や同僚、取引先と関係を築いてきました。人間関係には、それなりに場数を踏んできたつもりでした。それなのに、学校の職員室には、これまで経験してきた職場とはどこか違う、独特の空気があったのです。「先生の世界」に長くいる人たちと、転職してきた自分との間にあるギャップ。最初は、その正体がつかめませんでした。 3年たった今、ようやく分かってきた...教員採用試験に受かったらやること|合格後〜着任日までのロードマップと、本当に必要な準備
着任前準備
教員採用試験の合格通知。本当に、おめでとうございます。長い試験勉強を乗り越えてつかんだ合格は、何ものにも代えがたいものです。まずは、その努力をしっかりねぎらってあげてください。 ……とはいえ。喜びが少し落ち着くと、今度はじわじわと別の感情が湧いてきませんか。「合格したのはいいけれど、これから着任まで、いったい何をすればいいんだろう」という不安です。 私もそうでした。事務職からの転職組だった私は、合格後の半年間をどう過ごせばいいのか、ずいぶん悩みました。民間の会社への転職なら、...









